現在に至るまでの持株会社化と税務の変遷をたどり、現在における持株会社化のニーズと税務上の問題点について概説する。
また、持株会社化と法人税法上の適格要件、株式評価及び納税猶予制度適用との間に生じる税務否認の糸口について触れる。

はじめに、持株会社の定義を再確認し、上場会社による持株会社化の具体的な事例を紹介する。
その上で、非上場会社が持株会社化を検討する際に重要となる事業目的の検討や、事業目的の実現に向けた組織体制、資産構成、財務体制の構築の概要について解説するほか、持株会社に関する会社法上の留意点にも触れる。

株式移転や株式分割等の組織再編成にも共通する適格要件について、株式交換による事案を用いて、事業関連性要件の判定、資本関係がグループ内で完結している場合の完全支配関係の判定、無対価株式交換における適格判定の3つのケースについて解説し、最後に、会社法改正により創設された株式交付制度について触れる。

持株会社において、法人版事業承継税制を適用することのメリット・デメリットについて触れた上で、持株会社において法人版事業承継税制を適用するケースと、法人版事業承継税制を適用した後に持株会社化するケースに分けて、各ケースの留意点等について解説する。

純粋持株会社と事業持株会社の違いに着目した非上場株式の評価の上での特徴や留意点のほか、組織再編成による持株会社設立で最も多い株式移転のケースを取り上げ、株価評価への影響について解説する。
また、持株会社株式の相続税評価における子会社株式の取扱い等について、財産評価基本通達186-2（2）「現物出資等受入れ差額」の取扱いや、株式交換を伴う持株会社化の直前で子会社株式を一部取得している事案を取り上げる。